ボーダーラインと携帯小説の世界

精神病患者達と携帯小説が好きな人とアニメ類が好きだったり、料理好き用

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翼9

 今ニューヨークにいる娘の香織は会場にはいなかったが、契約が成立すれば良い。よほど手におえない相手でなければ問題ないだろう。
「栄転おめでとう。ついに本社勤務の夢がかなったわけだ」
 長谷川は、大きなものを抱え込むように手を振って笑った。
「夢、ですか。そうではありません。目標に到達しただけです」
 秀樹は素直に賛同する手が最良だと思いつつ、長谷川を測る為に軽く抗った。
「ほう、自信家だね。若いうちはそうでなくてはいけない」
 秀樹は違うと言いたくなって言葉を飲み込んだ。夢など幻想に過ぎない。そんなものを見ている間は、自分と夢の距離を見誤って行き過ぎるか届かないか、かなわない場合が多い。夢を見る、ではなく夢に魅入られているのだ。それは麻薬に等しい。
 たとえかなったとしても、現実に打ちひしがれることだろう。そして終着点にたどり着いたことにより怠慢が発生する。だからこそ目標という、次のステップを考え、かつ冷静に打ち立てられる思想が大切なのだ。
「私もまだまだです。縁談が成立した暁にはぜひご教授下さい」
 そう言うと、目の前の男を暗に小ばかにした気分になり自然と笑みが浮かんだ。自分の尺で相手の意見を汲み取るまでならまだしも、それを口に出して図らずとも相手に反発心を抱かせるなど性格的欠陥か浅はかな証拠だ。
 それを受けた長谷川は大いにうなずき、終始話しが盛り上がった。
 秀樹がようやく解放されたのを見届け、来場者はかわるがわる挨拶をしてやんや、やんやとまくし立てた。
 そうして式が進行していく様子を見、秀樹は不意に父の葬式のときのことを思い出した。
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  1. 2009/05/03(日) 06:35:06|
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