ボーダーラインと携帯小説の世界

精神病患者達と携帯小説が好きな人とアニメ類が好きだったり、料理好き用

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翼 20

「秀樹が去っていった日のこと覚えてる?」
「ああ、あのプレゼントを叩き落として、家を飛び出て、ブランコのところに座っていたら由美が来た。だが俺は、由美の前から姿を消した」
「そのとき、ずっとここで待ってるから私を迎えに来てって言ったわよね」
 数日前、由美と再会したときに一言一言をありありと思い出した。秀樹は黙ってうなずいた。
「あの日以来、部活に行かず公園のブランコでずっと秀樹を待っていた。でも、高校の時にどこの誰かも分からないオヤジに襲われた」
 秀樹は硬く目をつぶり、肩を落として頭を抱えてうなだれた。悔やんでも悔やみきれなかった。
「最初は逃げたけど、捕まってもうだめだと思った時に秀ちゃんが助けてくれるかもしれないと思った。だから、ぎゅっと目をつぶって恐怖に耐えた」
 もういい。もうやめてくれ。秀樹は危うくそう言いかけて、言葉を飲んだ。由美の悲しみを受け止めなければいけない。今度は俺の番だ。そう言い聞かせた。
 由美は唇を震わせ、のどをつまらせながらやっと声に出した。
「けど、助けにきてくれなかった。めちゃくちゃに壊されて、ぼろ布のように捨てられた。今でもあの心も体も引き裂いた荒々しさを覚えてる。ものすごく怖くて、一人残されてずっと泣いてた。そのときはっきり感じたの。もう秀ちゃんは私の知っている世界にはいないんだって。もう見てくれていないんだって。もう、会いに来てくれないんだって」
 由美の声は次第に涙声になり、かろうじて聞き取れた。そのとき俺はどうしていただろうか。必死にライバルを蹴落とし、上だけを見ていたような気がする。秀樹にとってはそれが一番悔しかった。
「それで、結局そこには行かなくなったけど社会に出て、路頭に迷ってまたあそこにたどり着いた。いっそ徹底的に壊して欲しいと思って、ずっとあそこに居るようになった」
「ごめん、ごめん……」
 秀樹はそれだけを繰り返して由美の細くて小さい肩を抱いた。
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  1. 2009/05/14(木) 09:05:32|
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  4. | コメント:2
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コメント

無題さん

コメントありがとうございます♪←過去のコメントと同じだから修正しろとブログが言ったorz
  1. 2009/05/14(木) 10:46:03 |
  2. URL |
  3. たけ #-
  4. [ 編集 ]

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  1. 2009/05/14(木) 09:44:58 |
  2. |
  3. #
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