ボーダーラインと携帯小説の世界

精神病患者達と携帯小説が好きな人とアニメ類が好きだったり、料理好き用

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

翼21

 二十八年の月日を経て、あの天使の置物のように満身創痍になって二人はついに巡り逢った。
 事故から二週間。秀樹は延命処置を施すかどうかを由美の口から問われた。
「わざわざ聞いてきたって事は、しなくてもいいってことだよな」
「そう言うと思ったから、聞いたの」
 由美はため息と共に言った。
「もう病名を聞いてもいいか? 知らないまま死ぬのはさすがに嫌だからな」
 由美は俯き、震える声で言った。
「肺ガンよ。運び込まれたときは末期で、もって後三、四ヶ月だって……」
「そうか」
「そうかって、それだけ? ひどいじゃない。何でこんなことになるのよ」
「いいんだ。お前を悲しませた罰さ」
「死ぬことが償いになるはずないじゃない!私はただ、あなたといっしょにいたかっただけなのに」
 由美は秀樹を睨みつけ、秀樹の寝ているベットにうずくまって声を殺して泣いた。
「飛べなくなって良かったのかもしれないな」
 由美は顔を上げ、一瞬戸惑ったが泣き顔とも笑いともとれない顔をした。
「その結果がこれなの。この状況でしか得られなかったの?」
 たぶんそうだろう。秀樹は職を失っただけでも由美を受け入れようとはしなったかもしれない。いや、受け入れたとしてもいずれ悲劇が訪れるのではないかと脅え続けることになっただろう。先がないと分かったからこそ父と母が秀樹の心に縛り付けた鎖は意味を失い、素直になれた。
 秀樹は答えの代わりに接吻をした。言いたい事はたくさんあったが、素直な気持ちを伝えるのに必ずしも言葉が最適とは限らない。初めて由美と交わす接吻は、お互い不慣れで硬く不器用で小鳥のようだった。二人は長い時間抱きしめあった。
スポンサーサイト
  1. 2009/05/15(金) 06:41:13|
  2. 携帯小説
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<否定されるということ | ホーム | 生きるということ>>

コメント

無題さん、

もうすぐ最終回!
  1. 2009/05/15(金) 09:40:28 |
  2. URL |
  3. たけ #-
  4. [ 編集 ]

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  1. 2009/05/15(金) 09:34:32 |
  2. |
  3. #
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://take10005achi3fu8.blog56.fc2.com/tb.php/207-efe666af
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。