ボーダーラインと携帯小説の世界

精神病患者達と携帯小説が好きな人とアニメ類が好きだったり、料理好き用

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拍手400回記念☆ 父と精神病の娘と結婚と1

「結婚しなさい。」

一人部屋の病室からは、しんしんと雪が降っているのが見えた。
私は思ってもみない一言に……いや、予想通りの言葉に、胸がつまる。つまる、という表現は正しいのだろうか? 半(なか)ばインスピレーションで思った感情を大切にしよう。

「でもね、お父さん」
一呼吸置いて、続ける。
「私は、怖い」
父は、ベッドに横たわったまま、私を一瞥(いちべつ)する。
「それでも、結婚しなさい」
父は、手を私の頬に当てる。
やせ細った掌(て)。血管が浮き出て、ただ枯れ行く木の葉のような掌。こんなにも、小さな掌だったろうか? 私は、思わず幼児の頃、私の小さな紅葉のような掌を握ってくれた、大きな掌を思い出す。
父は、私の涙を拭う。あれ? 私は泣いてたの……?
でも、温かい掌……。

思わず私は、父の掌を握りしめる。
できた。私は、父の掌を握れた。これまで二十六年。本当に長かった。

結婚が怖い理由は、”矛盾だけど”家庭が欲しかった。でも、壊れる恐怖がある。彼は良い人だけど……。私は、常にプラマイゼロの今の生活も気に入ってる。プロポーズは受けた。でも、後になって怖い。
私は父の顔に触れる。
父は、まばたき一つしない。
私の指は父の顔の輪郭をなぞり、鼻筋をいたわるように触る。

失うのはもう嫌……! そう言いかけて、黙る。
(昨日の今日だからな……。昨日の電車のご老人の言葉の一つ一つが染みる)

「お父さん……」
「なんだ?」
「こんな病院抜け出して、早く結婚式上げよう」
「そうだな。抜け出してやるか」
「ウソだよ、治すのが先」
「……そう……か……」
「お父さん……」
「ん?」
「お父さん……」
「うん……」
「お父さん……」
「うん……」
「約束だよ」
「……ああ」
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  1. 2009/08/29(土) 08:50:02|
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