ボーダーラインと携帯小説の世界

精神病患者達と携帯小説が好きな人とアニメ類が好きだったり、料理好き用

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父と精神病の娘と結婚と6

洋介は、暇をみては患者と話した。
「なんで私なの?」
百合子は、洋介に内心心細くなりながら聞いた。
「え?」
「なんで私にかまうの? 知らないかも知れないけど、私は氷の剣(つるぎ)みたいな手足と、氷の壁に茨(いばら)のツルで心を閉じてる。もちろんあんたにも」
洋介は、机に肩肘突いて、手に顔を預けた。
「今、僕が何をやってるかわかりますか?」
「興味本位で近づいて、鼻で笑ってる兄ちゃん」
洋介は、姿勢を崩さず言った。
「片手と、机に顔を預けてるんですよ」
百合子は、顔をそむけた。
「偽善者」
洋介は、それでも動かなかった。
「そうかもしれません」
百合子は、思わず洋介の目を見た。
「初めて視線を合わせてくれましたね。」
またしても、百合子は驚く。しかも、洋介の瞳から離れられない。
「目を見る、という意味がわかりますか?」
百合子は洋介が他の患者と話しているのを見て、慇懃無礼にかんじた。偽善者。慇懃無礼。そんな人間から離れなければ、百合子はますます壊れてしまう。
百合子が目を離せず、瞳孔を小さくするさまをみて、洋介は言った。
「目を見る、とは、心を見る。ということなんです」
「あ……」
そうだ、百合子は思った。コイツの正体を暴いてやろうと。だからこそ目を見た。洋介は続ける
「あなたは、人の目を見れませんね。それは、自分の生き方を否定しているからではないですか?」
「違う!」
百合子は、机を叩いて拒絶する。
「なら……」
そう言って、洋介は人目をはばからず百合子を抱きしめた。
百合子は、動けなかった。ただ、泪が零れ落ちる。
求めていた。その温もりを。
求めていた。自分を肯定する人間を……。氷の体が溶ける。
その水分は、すべて泪と嗚咽(おえつ)になり、泣きじゃくった。
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  1. 2009/09/03(木) 10:19:50|
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